「好き」は人を狂わせる~ミュージカル「フランケンシュタイン」とN村の狂気のリフレッシュ休暇
こんにちは、ASUE広報のN村です!
久々の採用ブログの更新ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
弊社、勤続3年で「リフレッシュ休暇」を取ることができます。3日間の連続休暇+3万円のボーナスというありがたい制度です。
この度、わたしが勤続3年を越え、初めてのリフレッシュ休暇を取得したので、その休暇のお話をしたいと思います。
3年前に狂ってしまったわたしの、血と涙の物語です。(嘘です。)
2017年、ミュージカル「フランケンシュタイン」との出会い
始まりは、2017年の1月。わたしは開幕したてのあるミュージカルのPVを見た。
ミュージカル「フランケンシュタイン」。
韓国で作られたミュージカルで、2014年初演して以降、韓国のミュージカルファンから熱狂的な人気を誇る今作が、ついに日本に初上陸したときのことだ。
3分半程度の短いPVを観たわたしは、すぐさま「わたしは絶対にこの作品を早く観なくてはならない。」と確信した。
当時、名古屋公演も予定されていて、既に名古屋公演のチケットを一枚母と一緒にとっていたが、それだけでは駄目だ。今やっている東京公演に行かなくては――そう確信したわたしは、当時付き合っていた彼氏に、「クリスマスプレゼント、これがいい!」と二人分のチケットをとってもらい、一緒に観に行ったのである。
そうして初めて観てから、わたしの行動は早かった。
初めて観劇したのが2017年1月15日、そこから一週間以内に、わたしはチケットを3枚増やした。予定していた贔屓の俳優が出ている作品の観劇を減らし(内容がNot for meだったのもある)、東京に行ける日の予定を全て、この作品につぎ込んだ形だ。
毎日のようにPVを見て、パンフレットに掲載された歌詞をほぼ覚え、日本語版の音源がないからYouTubeにあがっている韓国版の音源を聴きながら曲を覚えた。来る日も来る日も、ずっとフランケンシュタインのことを考えていた。大した回数を観たわけでもないのに、ふっと台詞や映像が頭の中で何度も反芻された。中でも主人公ビクター・フランケンシュタインの親友アンリ・デュプレが一幕の終わりで歌う「君の夢の中で」が大好きで、それは、完全にそらで歌える状態になった。CDは出ないのか、と主催である東宝/ホリプロにアンケートを出し、メールも送った。発売されなかった。病んだ。
大千秋楽を終えた後も、その熱は続いた。
その年の4月には、フランケンシュタインのナンバーを某有料チャンネルでキャストが披露するコーナーがあり、VHSの時代であれば擦り切れていたのでは?というほど繰り返し観たし、キャストの一人がライブで大好きなナンバーを歌うらしいと聞けば、秒でチケットをとってライブに行った。
一方、公演期間は毎日のように観ていたPVは、もう作品を観られないという虚しさから、辛くて観ることができなくなった。多分病んでた。
再演決定と沸き起こる不安
また観たい――という気持ちを、コンテンツに触れることが減りながらも、ずっと抱え続けたままのわたしに、ある日、朗報が飛び込んできた。2018年の夏のことだ。
「2020年1月再演決定!」
いつも通り昼休みにTwitterを見ていたとき、12時と同時にその文字が飛び込んできた。
全身が沸騰するんじゃないか、というくらい動悸が激しくなって、薄れていた(と思っていた)気持ちが一気に蘇った。もう観れない、いつ観れるかわからない、そんな不安を抱えてしまい、しばらく観ることができていなかったPVも、時々観るようになった。
さて、月日は流れ、2019年。
実は、再演でひとつ、懸念点があった。主人公の姉を演じる女性のキャストが、メインキャストで唯一変更になったことだ。新しくキャスティングされた方が、作品内で歌う予定の楽曲を披露する機会があり、わたしのテンションは――正直に言おう――下がった。
初演で演じた方は、ミュージカル界きっての歌・芝居共に上手い方で、日本のミュージカルファンならまず嫌いな人はいないだろう、というトップクラスの人。対して、新しくキャスティングされた方は、ミュージカル初挑戦!というシンガーの方。そして、披露された歌唱の映像は、緊張もあったのだろうが、個人的にはあまり許容できる状態ではなかった。
再演のときは毎週でもなんでも行って、地方も行って……と思っていたやる気が、その時点でかなりそがれてしまい、結果わたしは東京と名古屋合わせてたった6回分しかチケットをとらなかったのである。
2020年、再会
いよいよ、再演がスタートした。
期待半分、不安半分。
いろんな気持ちがないまぜになりながら、わたしは劇場に向かった。
照明が暗くなり、指揮者がオーケストラピットから(※)頭を覗かせて軽くお辞儀をして、観客が拍手をした。そして、懐かしい音が会場を包んだ。
「ああ、やっぱりわたしはこの作品が好きだ。」
1月の3連休の初日。
変わったこと、変わらないこと、よくなったこと、よくないと思ったこと。
いろんな気持ちがあった。
3年間、いろいろな作品を観て、少しだけ目が肥えて、初演を観たときよりも、悪い意味での思うところも実はたくさんあった。
けれど、その全てを脇に押しやってしまう「好き」がそこにあった。
泣いた。沸いた。くじけ、求めた。
東京公演で増やせる日程をすぐに増やした。
地方公演は名古屋4公演と大阪7公演が予定されていたが、名古屋は最初に3公演とっていて、大阪での上演予定日の三連休には、既に別の予定を入れていた。これでは増やせる余裕がない。
名古屋で元々チケットを持っていなかった1公演は、気が付いたらチケットを持っていた。摩訶不思議アドベンチャー。平日だったので四半休を使って観ることにした。
さて、問題は大阪公演である。
この作品は一部の役でWキャスト制を採用しており、そのWキャストの役の解釈や組み合わせによって作品の色が全然違うことが、ファンを狂わせていた理由でもある。
わたしが一番増やしたいキャストの組み合わせが、東京でも名古屋でも、もう増やせそうにない状況だった。
増やせるとしたら、大阪の平日。
有給休暇――は今後既に決まっている別の予定のためにできれば確保しておきたい。
そして、わたしは思い出すのである。
「リフレッシュ休暇」の存在を。
リフレッシュ休暇ならぬフランケンシュタイン休暇、大阪への逃避行
2020年1月21日。わたしは、リフレッシュ休暇を申請した。
ASUEでは、有給休暇などを取得する際、4連休以上になる場合はできるだけ1ヶ月前までに申請のこと、という決まりがあるが、2月20日からとる予定の休暇だったので、一日遅れた形で申請を行った。無事通った。
わたしはずっと、綿密な有給休暇消化計画と共に生きてきた。
今どれだけ休暇が残っていて、いつどこで何のために使うのか。これはどう生きるかという人生の命題とほぼ同義でもある重要な問題である。
そんな前もってスケジュールを決めるわたしが、土壇場で休暇をとることを決めるのは珍しかった。
3年勤続でもらえる貴重な、せっかくのリフレッシュ休暇、本当は海外や観光地にでも行ってみようかな?と思っていた。
でも、そんなことはもうどうでもいい。
わたしはフランケンシュタインに行く。絶対に行く。
そう決めたのだ。
たった2日間、たった3公演。
リフレッシュ休暇のほとんどを、全て「フランケンシュタイン」に投じたのであった。
フランケンシュタイン休暇を終えて
2020年2月24日、全42公演にわたるミュージカル「フランケンシュタイン」が終わった。
その少し前、2月21日金曜日の昼公演、大好きでDVDにもならないペアの公演を最後に、わたしの2020年公演も幕を閉じた。
縁あって最前列で観るという機会も得た。
何よりも、「好き」と「楽しい」が詰まった時間だった。夢の中にいるような時間だった。
きっと、そんな風にリフレッシュ休暇を使っちゃったの?と聞く人も世の中に入るだろう。
でも、自信を持って言える。
これが、わたしが”生きるということ”である、と。
(※)オーケストラピット:劇場などでオーケストラが演奏を行うための場所。舞台の前の客席前方に設置されることが多い。
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広報のN村
ASUE株式会社の広報担当・広報のN村。 2016年に彗星のごとく現れWebコーダーとして入社し、フロントエンドを担当した後、文才を見出され広報に異動する。業務中は大体鼻歌を歌っている。